
12月23日に文科省が有識者会議を立ち上げるというニュースがありました。
大川小学校の事故を受けて有識者会議が立ち上がり、2016年に出された指針とありますが。
正確には、大川小学校事故の「事後対応」を受けて設置された会議です。
命が失われたというのに、説明会の打ち切り、証言の隠蔽、資料の破棄・・・といった当局の不誠実な対応で遺族・関係者は更にダメージを受けました。検証の面でも大きく遅れる原因となりました。 詳しくはこちら
事故から2年近く経って立ち上げた検証委員会も、事実の解明を途中で放棄し「検証」とはほど遠い内容になりました。
そうした経緯をふまえた有識者会議です。
大川小や日和幼稚園(石巻)の事故遺族のヒヤリングもありました。 河北新報 毎日新聞 教育新聞
↓ 当時の新聞記事
当時の議事録等(2015年9月25日) ※大川小事故についての資料 レジメ 資料
そうして2016年にまとめられたのが学校事故対応に関する指針です。
ニュースには
この指針では、死亡事故などで必要と判断された場合、外部の専門家などによる詳細調査を行うことと定められていますが、昨年度までの6年間では国に報告があった死亡事故131件のうち、詳細調査が行われたのは14件にとどまるなど、実効性が課題となっていました。
何か事故や問題があると「〇〇有識者会議」「〇〇推進会議」「〇〇検証委員会」が立ち上がりますが、そもそもそうしたサイクルを見直すべきではないでしょうか。
2015年9月のヒヤリングでも意見しましたが、
事実解明を放棄しない。本気で取り組む。
・知識と手法を備えた委員が権限をもって検証を行う仕組みを作る。
・にわか仕立てではなく,学校事故に対処する専門機関を常設する。あるいは,進め方をコーディネートする機関を常設する。
そして、指針や提言を出して「ハイおしまい」ではなく、現場の実態をふまえ、実際に運用できる内容にすることが求められます。
2019年、朝日新聞の記事です。 → 学校死亡事故、検証報告は1割未満 遺族に募る「なぜ」
2015-16の有識者会議のメンバーでもあった住友剛氏(京都精華大)は↑の記事に関連し、このように述べています。(抜粋)
今後はこの「法律や指針の趣旨どおりには動かない、動けない」背景に何があるのかを解明して、そこから手をつけていく作業をしていく。その作業を最優先的にするべきでしょう。
まさに今、2019年のこの言葉通りになっています。住友先生は一貫して現場の視点から本質的な発信を続けられています。 「新しい学校事故・事件学」
「指針」や「提言」「報告書」といったものを会議の成果物のように思ってしまいがちです。
会議が立ち上がることで、何か進んだような気になることもあります。
それは入り口に過ぎません。
「指針」を作るのが目的ではないのだということを再確認し、今回の有識者会議を、多くの皆さんに注目していただきたいと思います。

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