12月2日のシンポジウムは、たくさんの皆様の参加をいただき無事終了することができました。
ご協力、ご参加いただいた方々に心より感謝申し上げます。
弁護士、学者、学校関係者、それぞれの立場からの見解と提言を
遺族の想いと合わせて伝えることができました。
会場にはランドセルやヘルメットが置かれ、
まるで子供たちが私たち大人をじっと見ていてくれるようでした。
裁判はややもすると結果だけが独り歩きしてしまいがちですが、
ほんとうに大切なのは、これからです。
判決文343頁の一言一句にこめられたものを未来にどう生かしていくか、
教育現場はもちろん多くの方々が向き合っていく必要を感じます。
あの出来事を、あの命を、ほんの少しでも未来の命の輝きにつなげていけたらと願っています。
本当にありがとうございました。
参加された皆様からの声(フェイスブック等への投稿の抜粋も含む)をいくつか紹介します。
まだまだありますので、後日再度紹介します。アンケートも集計中です。
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◆会場には亡くなった子どもたちが3.11当日に身に付けていた衣類や遺品、そして遺影が置かれていました。きれいに洗われていますが、裂けたヘルメットや傷だらけのリュック、破れたジャンパーは、子どもたちがどんな恐ろしい目にあったかを想像させます。また、将来の自分にあてた大輔君の手紙、中学校合格の夢を描いた堅登君の絵馬の写真など、この子たちの奪われた未来を思いながら見ると、目がにじみます。このような悲劇が繰り返されていいはずはありません。
ご遺族の言葉:「子どもの命は、大人が責任をもって守らなければいけません。こんな当たり前のことが実現できる社会にしなくてはいけません。」「教師の負担が増えるなどという声もありますが、児童の命を守ることを負担だと思うのでしょうか。児童の命を守ること以上に優先させるものはありません。負担だなんて言わないでください。」
原告側弁護士の言葉:「この判決にきちんと向き合わなければならなかったのは、知事(宮城県知事)、市長(石巻市長)、すなわち行政です。」「本気で子どもの命を守ろうとする意識があったかどうかが問われているのです。」「この判決文を、全国の学校現場の(防災の)基礎にして欲しい。」判決文からの引用「安心・安全であるべき学校が、子どもたちの命の最後の場であってはならないのです。」
パネラーの言葉「この裁判は、行政の不作為、ネグレクトが問われている」「防災とは、事前準備をすることである。それには次のようなものがある。(1)ハード面の事前準備、(2)ソフト面の事前準備(訓練など)、(3)組織間の調整の事前準備(誰が何をするかを、組織間で十分に調整しておくこと)・・・この3つめの最も大切なことが抜けている。」
パネラーであるご遺族の言葉「教師は、たまたまそこにいた大人ではない。子どもたちの命を守って輝かせる義務を負った存在なのだ」
◆4時間という長丁場のシンポジウムでしたが、大川小高裁判決の本質をしっかり学べました。
原告代理人の齋藤雅弘弁護士は高裁判決の内容を分かりやすく解説し、宮城県や石巻市教育委員会が控訴、上告した理由にある「予見できない自然震災」、「大川小の教職員に責任を負わせることはできない」という反訴争点を整理。裁判所が下した判決内容は「宮城県は東北大などの地震予知の研究機関からの資料をもとに宮城県沖地震が近く発生する」と数年前から公表し、対策を講じていたことや、「判決文は大川小教員の予見・対応判断を問うているのではなく、宮城県や石巻市教育委員会の事前準備を含めた対策が不十分だと認定」したものだとし、いかに誤った解釈がメディアを通して世間へ蔓延っているかー糾弾しました。
会場には多くのマスコミ関係者がいたと思いますが、(当然ですが)反論の余地もないほどの説明でした。
また、鈴木秀洋氏は「(高裁判決以降のマスコミの報じ方のなかで)教員の負担が増す」と言われるが、人の命より優先されるものがあるのか?と、宮城県知事や県育長の解釈に疑念を呈し、学校(義務教育)への根源的義務を判決文は問うていると解説。「教育現場は憲法で保証された『教育の自由』があり、教職員は独特の行動規範のようなものがある。しかし、今回の判決は教育への介入ではなく、(命を守るという)根源的義務が組織的意思決定の遅れにより最悪の事態に見舞われたとの判決』と結論付けました。
会場からは『宮城県や石巻市が控訴、上告する際にそれぞれ代理人弁護士がいる。その弁護士は県や市に対し、判決内容を解説し控訴、上告を止めさせられないのか?また、その弁護士費用も私たちの税金が使われている』と憤りを隠せないーという意見が相次ぎました。
『空振りは許させるが、見逃しは許されない』これが行政側の隠蔽体質の根源的問題であることや勉強不足のマスコミ報道への疑問とメディアリテラシーの必要性が浮き彫りになったシンポジウムでした。
会場には「死にたくなかった、もっと生きたかった」児童たちが身に付けていたランドセルが展示されていて、大人たちの行動をじっと見ているように感じました。
◆ノルマで作られたマニュアルなど無視して、ことなかれ主義の上司など無視して、教師は子どもの命を守るべき誇り高き職業である(私の理解)
仙台高裁が出したこの判決がしっかりと影響力を持ち、全国の教育現場の意識が少しでも変わっていくのなら、大川小で亡くなったたくさんの子どもたちと遺族の思いは、ほんの少しづつでも報われていくのかな。そのために自分もやれることを。
◆控訴審判決は教育行政に関わる至極まっとうな義務(子どもの命を守ること)に触れているものと受け止めておりますが、一部教育機関や行政、報道機関が学校現場に負担を強いてしまうのではなどとの曲解をしているようで悲しく感じています。
本判決は、教育行政の不作為を指摘した画期的なものでもあることから、行政側が戦々恐々としちゃったのかもしれません。
◆今回のシンポジウムでは、学校防災に熱心に取り組んできた事例として、他県の元小中学校校長が登壇しました。子どもたちの命を守ることに真摯に向き合う気持ちが伝わり、感銘を受けました。全国を見渡すと、震災以降に防災の取り組みを大幅に見直した学校と、従来通りの取り組みしかしていない学校とに、大きく分かれているそうです。
そのような状況を鑑み、パネラーであるご遺族が警鐘を鳴らしていました。
「学校防災に正解はない。だからこそ(熱心に取り組む学校は、フィードバックと改善を)繰り返している。今の石巻の学校は、取り残されている気がする。これで本当に子どもたちの命を守れるのか?何をしているのか分からない。ベールに包まれて(市、教育委員会、学校などの身内だけで)なぁなぁで済ませている。親たちもそのことに気付かないし、気付く手段もない。不安を感じる。学校防災を広く知らせる取り組みが必要と感じる。大人だけでなく子供にもわかるものが必要だ。」
大人たちが考えていかなくてはならないこと、変えなくてはならないことは、まだまだたくさんあると痛感しました。
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