5月16日に控訴審の第2回口頭弁論が行われました。
報道等では「学校保健安全法の解釈云々」について書かれていましたが、つまり、問うべきは
「避難マニュアルが子どもの命を守るために作られたものか、教育委員会に提出するために作られたものか」
です。
整理します。
大川小のマニュアルには「津波」という文言があります。
「津波の発生の有無を確認し避難」
津波の際は「近隣の空き地・公園等に避難」
ところが近隣には「空き地も公園」もありません。不十分どころか実体のないマニュアルです。しかも、校長先生はこのマニュアルを知りませんでした。
マニュアルの作成者は一審で「一般的な災害として『津波』という文言を入れただけ」と言い放ちました。このマニュアルは子どもを守るために作成したものではないと認めているのです。
市教委から実施するよう指導されていた引き渡し訓練も行われなかったばかりか、引き渡しのルールは教員間で共有されず、緊急時に使う「防災用児童カード」は何年も更新されていませんでした。ちなみに校長はこのカードの存在も知りませんでした。
引き渡しのルールもカードも市教委には提出されています。
3月11日、現場に行けず避難所に来て心配する保護者に対し、校長は「山に逃げることになっているから大丈夫」と言っています。
大川小の避難マニュアルは不十分(杜撰)なまま、何年も見直しをしていないのは明らかですが、そのマニュアルさえ校長をはじめ教職員は知らなかったのです。「避難マニュアル」を作らなかったと同じです。
これで問題がないとすれば「学校保健安全法」とは何のために、何を定めた法律なのでしょうか?
このような学校に子どもが通っていたということ。教師はこのような状態で子どもを預かっていたということです。これこそ、大川小の先生方が黒い波を見たときもっとも後悔したことのはずです。
この事実にすべての学校関係者は正面から向き合うべきです。
あの日の校庭は、マニュアルが不十分でも教師は子どもを救えたはずです。でも、教師集団が「子どもを守る組織」として機能しませんでした。
マニュアルそのものの不備、杜撰さと同時に、その作成過程から見えてくる学校経営の姿勢が、あの日の校庭(意思決定の遅れ、避難方向の判断ミス)につながったのです。
防災に限らず、学校にはこのように提出するためのマニュアルや計画が少なくありません。問題や事件の度に行われる通達・調査・報告・研修、そしてまた次のマニュアルが作られるのです。
大川小の事故はそういう構造を抜本的に見直す機会になるはずです。
その先まで「小さな命の意味を考える会」で考えていきます。
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