1月20日の各新聞の見出しはこんな感じです。
「津波避難 決定遅れ惨事」朝日新聞
「避難決定に遅れ」河北新報
「東日本大震災:大川小の事故報告最終案 避難決定遅れ指摘」 毎日新聞
検証委員会は
「避難開始に関する意思決定の時期が遅かったこと」
「避難先として河川堤防に近い三角地帯を選択したこと」
が事故の要因であるとする最終報告案を示しました。
誰も体験したことのないようなあの揺れの後、生まれて初めて聞く「大津波警報」があり、津波到達まで51分あったこと。険しい山の脇の狭い民家の裏(しかも実は行き止まり)の道を通って、行ってはいけない川の方向に向かったことは、震災後すぐに判明していて、市教委との話し合いや報道でも確認されていたことです。
火事の現場を調べた後、「この火事の原因は『火』である」と言うことと何ら変わらないように思います。
平成24年10月に私たちが示した「検証のポイント」です。
救うための十分な条件(時間,情報,方法)がありながら,逃げた時間と距離はほんのわずかである(ほとんど逃げていない)。しかも狭い場所を通って,川に向かっている。どうしてそうなったのか。
そのポイントについては、残念ながら答えていただけませんでした。
何も進んでいないのです。
19日の検証委員会では、委員の口から「限界」という言葉が聞かれました。
可能性も否定できない
…ものと推定される
…と考えられる
要因のひとつにもなっていたものと推定される
必ずしも十分に定着した状態までには至っていなかったものと推定される
検討する余地があると考えられる
影響を及ぼした可能性がある
信憑性を疑わせる余地をもたらした
その詳細を明らかにすることはできなかった
…可能性があるが、その理由については明らかにすることができなかった
このような書き方をすれば、あらゆる可能性があるわけで、事実があったのかどうかさえどっちつかずになります。
たとえば「指揮台の上にラジオがあって聞いていた」という複数の証言があるのにもかかわらず、「ラジオを聞いていなかった」という証言があったということで「ラジオを聞いていたかどうかの断言はできない」のだそうです。
あまりにも曖昧で、疑問点、というより間違いがたくさんあります。そのような状態で24もの提言も示されました。
たとえば、こんな部分があります。
「単に指示に従うのではなく、自らの行動を自ら判断する訓練を行うことが必要である」
津波の襲来を察知し、逃げたいと思ってもじっと指示を待つしかなかった子ども達を全否定しています。少なくとも大川小の事故から得られる教訓ではありません。即刻削除し、子ども達にあやまるべきです。
すべて間違いとは言いません。専門家ならではの視点、分析は所々に見受けられます。検証委員の方々は時間に追われながら、懸命に取り組んでくださったのは分かります。
でも、「だから仕方ない」と済ませてはいけません。
検証委員会の先生方は「やるだけのことはやった」「ささやかな達成感がある」と言うけど、何を報告したものなのでしょうか。
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