一人一人が、あの日の校庭の子どもであり、先生であり、帰りを待っていた保護者です。
そんな気持ちで向き合っていけば、必ず方向性は見えてくると私たちは信じています。
11月21日、宮城県議会議員の皆様が大川小を訪れ、話を聞いてくださいました。
次のようなことをお伝えしました。
私たちの想いに耳を傾けていただき、ありがとうございました。
・・・・・・・・・・
50分間、校庭から動けなかったことと、
5年8ヶ月、状況が変わらないことは無関係ではないと思います。
子供たちの命を、嘘や言い訳で説明され続けてきました。
先生方の命についてもです。
子どもを失った悲しみに寄り添い、再発防止を本気に目指しているとは思えません。
苦渋の決断の末、時効の一日前に訴訟。そして、今日に至っています。
小さな命の意味を考える会には原告ではない遺族もいます。遺族以外のメンバーもいます。
想いは同じです。目指すべき未来は同じです。
学校も教育委員会も、県も市も、やがて必ず交わり、大きな流れになるはずです。
大川小学校で起きたことに関して、本来、何が問われるべきなのか。
学校が、教育委員会が守るのは、いったい何なのか。
「学校でしっかり子どもを守る。信頼して子どもを通わせるようにしてほしい。
そのために、子どもたちの命、先生方の命を無駄にしないでください。」
というのが今回の訴えなのです。県や市の控訴理由はその本質から大きく外れています。
学校は集団を守らなければなりません。
だから避難マニュアルが整備され、集団で訓練をするのです。
「万が一」「念のため」のレベルは一般のそれとは違います。
あの日に急に集団になったわけではありません。
小学生の集団を守る行動として適切だったか、最善だったかです。
時間・情報・そして手段があった。
救ってほしかった命、救うべき命、救えた命が、そこにあったのは揺るがない事実です。
まず、その事実をふまえて、救えなかったのはなぜかを考えなければなりません。
市や県は津波の対策を講じるように指示を出していて、大川小も津波の避難マニュアルを作成し、提出しています。
マニュアルには「津波のときは近隣の空き地か公園に避難」と明記されています。
ところが近隣には空き地も公園もなく、しかもそのマニュアルを教職員は把握していません。
実体のないマニュアル、職員も知らないマニュアルが、戸棚に入っていて、教育委員会に提出されていたということです。
当時の校長先生、及び作成した当時の教頭先生は「一般的な災害として『津波』の項目を入れただけ」と話しています。
このマニュアルで子どもの命を守る気はなかったということです。
教育委員会が作成を指示したのはこのようなマニュアルだったのでしょうか。
これで問題ないのであれば、そういう学校に今も子どもを通わせているということです。
それでいいはずがありません。
あの日の避難行動の遅れに直結したと私たちは考えています。
学校管理下、子どもを守る使命が学校にはあります。それを果たすのは十分に可能でした。
でも、その使命を果たすことができなかったのです。
何が事故に結びついたのか?
組織のあり方、備え、学校経営に問題はなかったか?
それは避けられたはずではなかったか?
危機を察知した住民は逃げます。でも、危機を察知した子どもは逃げられません。
山に走った児童は列に戻されました。
避難を訴えた声は聞き入れてもらえませんでした。
狭い通路を通って子どもを移動させる途中で、津波が襲いました。
その瞬間の先生方の気持ちを考えてください。彼らの後悔、無念さを。
目の前に津波が来てからでは、子どもの命は守れないのです。
あのとき、子どもを守ることができたのは教師しかいません。
教師はあの校庭から子ども達を連れ出すことができる存在です。救うことができる存在です。
素晴らしい使命をもっています。
すべての教師はこの場所に立ち、その自覚をいっそう強くしてほしいと願います。
どんなに寒かったでしょう。どんなに怖かったでしょう。どんなに生きていたかったでしょう。
子どもたちの声に耳を傾けてください。
お願いいたします。
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