メディア 2013/12/01 | 0 Comment

河北新報 2013.12.01日

… 東日本大震災で児童と教職員計84人が死亡・行方不明になった宮城県石巻市大川小の津波災害で,7回目の事故検証委員会が30日,市内であった。これまでの検証に不満を持つ児童遺族が検証委に公開質問状を提出,委員と直接話し合った。遺族からは「震災後なぜ避難が遅れたのか,子どもたちが亡くなった原因の核心に迫る検証をしてほしい」という声が相次いだ。
遺族は質問状で(1)避難が遅れた原因を地域の意識のせいにするのでなく,学校管理下で起きた事故だったことを前提にしてほしい(2)これまで検証委が調べた事実関係には根拠に欠ける記述が多い。根拠を明確にし,間違いは訂正してほしい-など5点を要望した。
話し合い前にあった震災当日の避難行動に関する分析では,教員の中で唯一助かった男性教諭から聞き取った証言が盛り込まれた。男性教諭が他の教員に「(学校の裏の)山に逃げますか?」と声を掛けたが,「山は危ない」と言われ,それ以上議論しなかったことが示された。
6年だった次女を亡くした佐藤敏郎さん(50)は「津波が来ると思っていた教員がいながら,なぜ強く『山に逃げよう』言えなかったのか。われわれが知りたいこの一点に絞って議論をしてほしい」と訴えた。
東北福祉大教授の数見隆生委員は「学校経営の在り方も含めて議論する必要があるが,職員集団の中に個人が突出しないようにしようという雰囲気があったと感じる」と見解を述べた。

終了後の記者会見で室崎益輝委員長は「遺族との信頼関係を築けないままで真実に迫れるのかという危惧があった。今後もコミュニケーションが必要」と述べた。
12月に予定される最終報告については「個人的には難しいと思うが,遺族も先延ばしにすることを望まないはず。最大限努力して年内にまとめたい」と強調した。…